中国の有名なお菓子、月餅をご存知でしょうか。月餅はもともと中秋節(旧暦の8月15日。2021年は新暦で9月21日)の伝統行事の際に、お供え物として用意されたのが始まりと言われています。日本で見る月餅にはさまざまな餡が入っていますが、中国に古くから伝わる正統派の月餅は蓮の実を使った餡に、鹹蛋(タンファン)というアヒルのたまごの黄身を塩漬けにしたものが入っています。これを中国では鹹蛋月餅と呼んでいるそう。
中秋節とは名月を愛でる中国の行事で、日本でいう「お月見」のこと。中国では別名「団円節(だんえんせつ)」とも言われ、春節に次いで重要な行事とされます。一年で最も美しいとされる中秋節の大きな満月は、「円満・完璧」の象徴として大切にされ、中国では家族と円卓を囲んで一家団らんや月見を楽しむと言われています。
餡の中に塩たまごの黄身が丸ごと入った鹹蛋月餅は、黄身の塩気とねっとりと濃厚な味わいが特徴です。包丁で2つに切ると、真ん中にオレンジ色の丸い黄身が姿を現し、満月のお月様のよう。まさにお月見にぴったりの銘菓なんですね。
この月餅、お目にかかれるのはお月見の時期限定だとか。「中秋月餅」として店頭に並ぶこともあるので、「アヒルのたまごの黄身が入った月餅はどれですか?」と聞いてみるとよいでしょう。